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  since : 1996年07月
  update: 2008年12月01日
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    案件名                                           2000/09/10 配信
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    「保険放棄」って何ですか?
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    患者名   トシ     担当医  noric 先生   なかじー 先生
    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

    ●患者問診より●

    こんにちは、会員のトシと申します。
    先生方のアドバイスをお願いしたく失礼ながらメールを送ります。

    実は先日、会社の同僚がバイクで事故を起こし、足の骨を折って入院し
    てしまいました。事故の相手はトラックで交差点での事故です。

    警察を呼んで現場検証をしてもらい、後は保険屋さんに任せれば問題無
    いなぁ〜と思っていたところ、急に相手が「保険放棄」と言いだし「俺
    は悪くない」との一点張り・・・・・。同僚の保険屋さんは「保険放棄
    したので、どうする事も出来ない・・・」と言ってます。

    「保険放棄」と言う言葉は初めて聞いたものでどうしたら良いかわかり
    ません。お忙しいとは思いますが是非良きアドバイスを宜しくお願い致
    します。



    ●担当医所見●     noric  先生

    後でなかじー先生のおっしゃるように、バイクに車両保険をかけてる人
    はほとんどいませんので、車の時の参考程度にお考えくださいまし。

    ご相談の内容は、交通事故の相手が、示談交渉の際保険屋を使わず、自
    分で行うと言うことになります。元来事故とは、当事者同士で話し合う
    のが筋ですが、金銭が絡んだり、過失について当事者だけでの話し合い
    では、まとまらない事があるため、「お互いに保険屋に任せよう。」と
    言う趣旨になり、間に保険屋に入っていただいているわけです。
    現在では、事故の処理は、こういうスタイルが殆ど一般的ですが、別に
    当事者さえ納得すれば、保険を使う必要はございません。

    また、保険屋同士の話し合いでも、最終的に過失の割合が決定、報告さ
    れ意義がなければ、はんこを押して返送します。これが追認と言う形式
    となり、結局当事者同士の合意と同じ法律効果を持っています。

    ご自分で示談される際のメリットとしては、「保険屋の言いなりの過失
    割合にならない。」「自分で交渉できる。」「10:0を勝ち取ると、等級
    が下がらない。」などと言うことが考えられます。また、任意保険に加
    入していない場合、物損についての示談は当然ご自分で行うことになり
    ます。 

    今回の事例で、トラックの運ちゃんが「保険放棄」という選択をされた
    のには、私が考えるところでは、以下の理由があるのではないでしょう
    か。


    1.自分に落ち度はないと思い込んでいる。
    2.保険の等級が下がり、来年の保険料のupが嫌。
    3.実は保険に入っていない。


    自分の過失の有無にかかわらず、事故を起こせば、当然示談の必要があ
    ります。10:0になることなど、おかまぐらいしかない訳です。
    自分が走っていれば、ほとんど10:0にはなり得ません。ましてやあなた
    に骨折を負わせている訳ですし、さらに現場が交差点ですからトラック
    の運ちゃんが「悪くない」と言う主張は、通りません。解決の為には、
    訴訟でもなんでもする必要があるのではないでしょうか。

    ここで、情報が不足しているのですが、どのような状況下での事故だっ
    たのでしょうか。この状況がわからなければ、過失割合を、判例より調
    べることが出来ません。事故の状況によって攻め方が変わります。

    過失割合は、ご自分の加入されている保険屋に相談されれば、おおよそ
    のところは出てくると思われます。もっとも不満があれば、ぶつければ
    良い訳で、つまるところ過失割合とは、お互いが認めればそれで済む話
    です。先ほど10:0は「おかま」しかなり得ないと申しましたが、それは
    判例の世界の話であり、現に当事者での示談では、通常8:2のところ私は
    10:0に何度もしております。
    要は「ごねたもん勝ち」と言う感覚ですね。 

    さて今回の解決法ですが、状況が具体的でなく、ご自分の加入されてい
    る保険内容も定かではありませんので、確実なことは言えませんが、場
    合分けをして考えてみます。


    <物損について>


    あなたは車両保険に加入されていますか。もし加入されていれば、物損
    に関する金銭的負担は、いずれにせよ心配ありません。加入されていな
    い場合、示談で請求する必要がありますが、当然こちらの請求もあれば
    向こうの請求もあるわけです。話し合いに応じない限り、トラックの運
    ちゃんの損害も一切支払われることはありません。当事者の示談交渉で
    最ももめる点は、過失割合についてです。
    「やった」「やってない」「スピードが出ていた」「出ていない」など
    でもめることが多いです。もめた場合ですが、あなたの保険屋は第三者
    機関に依頼し、それとなく妥協案を出してくれますので、こちらを参考
    に示談されることをお勧めします。余談ですが、あなたが加入されてい
    る保険の内容によっては、示談交渉も行ってもらえる場合があります。
    これで話がまとまれば、お互いの請求金額をあなたの保険屋が相殺して
    くれますので、ご自分の請求額が相手より少ない場合は残りを相手に支
    払い(支払いは保険)。多い場合は、残金を相手から徴収する必要があ
    ります。この際 相手の車の修理は、ご自分の保険屋のアジャスターが
    見積もりに行きますが、あなたの車の修理は、相手が保険屋を使わない
    以上、アジャスターが来ません(車両保険を使う場合は当然アジャスタ
    ーが来る。)つまり修理工場と結託して、べらぼうな修理代を請求する
    ことも可能です(限度がありますので修理工場と相談して下さい。)
    次に相手が全く示談に応じない場合、ご自分の損害について賠償しても
    らう損害賠償請求をする必要がございます。
    こちらの手続きは、あなたの加入している保険屋の、指定弁護士が協力
    してくれます。車両保険に入っている場合は、あなたの車の修理代をさ
    っさと保険屋が支払い、そのかわりに損害賠償請求権を保険屋譲る形に
    なります。つまり保険屋が請求権の替わりにあなたの車の修理代を出し
    保険屋が、あなたと関係の無いところで訴訟するという形になります。

    車両保険に入っていない場合は、保険屋さんの指示に従い手続きを起こ
    されてはいかがでしょうか。ただ、1〜2日場合によってはそれ以上 会
    社を休む必要があるかもしれません。

    ここからは、私が少しでも自分に有利に導く際に用いる方法です。相手
    の保険屋を引きずり出す方法や、相手に話し合いに参加させる方法、と
    れるところから攻める。など今思いついたところをまとめてあります。
    事故状況によって、おおよその自分の過失が分かりますので、それぞれ
    の場合によって攻めるところは変わってきますがとりあえずの案です。
    ご参考にされてはいかがでしょうか。


    ・相手が、話し合いに応じない時など会社に電話する。
      会社の上司に、示談をするように要請する。


    ・トラックの運ちゃんの事故が、業務中なのであれば、示談の交渉は会
      社と行う。


    ・もし仮に、あなたに多分の落ち度が有ると考えるのであれば、物損に
      関しては10:0で相手方の全面的な主張を認め、保険会社より保険金の
      支払いを要請する。しかし、当事者間において、実質的な過失割合を
      議論しておき、全額相手に支払われた金額を分ける。
      ただし、人身があるのでこの点 は注意して取り扱いをする必要がご
      ざいます。人身部分の請求が出来ない場合があります。


    ・車両保険に加入しているのであれば、ご自分の物損部分を、車両保険
      を使い修理し相手の修理代を、当事者二人で協議して、分ける。


    ・人身事故を相手は起こしている訳であるので、罰金・免停などの行政
      処分がある。もっとも反省し、誠意ある態度であれば、罰金の金額も
      低くなり、行政処分も無い場合もある。しかし逆の場合、重い処分と
      なる。加害者がトラックの運転を生業としている方であるため免停は
      死活問題となるが、被害者の要請で、裁判所へ処分の軽減を求める陳
      情書を書くと、著しい軽い処分で済むことがある。これを利用して、
      陳情書類を作成するかわりに、有利な内容で示談は出来ないか交渉す
      る。


    ・またご自分の保険の搭乗者特約を使うと、自分自身の通院も日額○○
      ○円と言う形で出るので、こちらも利用する。


    ・相手の過失を認めさせ、いずれにせよ金が必要だと言う認識を相手が
      すれば、当然保険屋に連絡するでしょうから、保険屋を引きずり出す
      ことが出来ます。後の交渉は、保険屋同士に任せれば良い訳ですね。


    <人身事故について>

    とにかく人身事故である以上、保険放棄などと良心的にも言えないはず
    ですが、任意保険に加入していない者が、事故した場合などは、同様の
    ケースとなります。この際無車検の車でない限り、自賠責保険は加入し
    ているはずです。任意保険に加入していても、まず自賠責の部分で保証
    をしてもらい、残額を任意保険の保険屋が負担すると言う形になってい
    ます。つまり、任意保険がなくとも、自賠責で賄える部分の保険金はお
    ります。ただ、自賠責は、怪我の内容に対して、ある程度定額となって
    いるので思ったほどはとれないことはご理解ください。
    これ以上の負担を求めるのであれば、上述したような方法で、加害者側
    の保険屋を引きずり出す努力をしてください。また「あくまで保険を使
    わない。」と主張した場合。または、実際保険に加入していない場合な
    どは、こちらも物損同様、損害賠償の請求を行えますので、物損とあわ
    せて請求の訴訟を起こしてはいかがでしょうか。交渉つきの保険契約で
    あれば、あなたの保険屋さんがいろいろ替わりに行ってもらえるのです
    が、ついていない場合は、基本的にあなたがご自分で行う必要がござい
    ます。この際は、保険屋さんがある程度教えてくれると思います。

    自賠責保険は、保険の等級に関係なく支払い金額は一定ですので、自賠
    責を使うことは、加害者のトラック運ちゃんもOKすると思うのですが、
    、、この際は、とりあえず、自賠責を使いたいと言う旨を申し出て、書
    類をもらいます。手続きは、ご自分で行う必要があります。


    ***最後に***


    かなり長々と書きましたが、あなたの加入している保険の内容、事故の
    状況(判例による過失割合算定に用いる)がわからない為、具体的な解
    決策へ導く方法は残念ながらわかり得ません。一度保険契約の内容を調
    べてみる必要があると思います。簡単に見る方法は、CAPとかTAPSAPなど
    書かれています。TAPなら安心です。(示談交渉つき&車両保険付)。
    SAPならちょっと心配。あと、トッピングでいろいろな契約がありますが
    こちらについて調べ、なおかつご自分の保険屋に相談して、具体的にど
    のようにするのが、あなたにとって最も得策か充分相談されるてはいか
    がでしょうか。保険屋も次の契約があるので、相談には乗っていただけ
    ると思いますよ。



    ●担当医所見●     なかじー  先生

    まず「保険放棄」って言葉ですが、複数の保険関係者に聞いたところ、
    一般的ではない言葉のようです。(なかじーも初耳でした。)まあ、ど
    ういう言葉使おうとも勝手ですが、トラックの運転手の周辺限定の符牒
    くらいに考えるのが妥当です。要は、自分の加入している任意保険を使
    わないってことでしょう。

    本題に入ります。まず、頂いた情報を基に推理すると、まあ、トラック
    の任意保険って掛け金高いですから(大きさによりけりですが)トラッ
    クの運転手が任意保険に入っていないことを隠すための方便と読み取る
    のが妥当でしょう。どちらがどれだけ悪いかってのは、わかりかねます
    が、この事案は、事故でケガをしたが、相手が任意保険に入っていなか
    ったケースと同じもののようです。対応を以下に


    1.ケガした本人さんの治療について健康保険にきりかえる。


    2.自賠責の被害者請求を行う


    3.所轄の警察署へ出向き、
      事故担当に「供述調書」の書き換えを申し出る


    という感じです。その他、ケガした方の車両が4輪なら車両保険の請求と
    かもあるんですが、バイクの車両保険ってほとんどない(保険会社が販
    売していない)ですからこの場合は割愛。


    まず、基礎編。


    今回の事故に関して自賠責は被害者から何の問題も無く請求できます。
    (自賠責の被害者請求という)誰の自賠責を使うかっていうと、もちろ
    ん、トラックの自賠責です。自賠責ってのは、被害者救済を目的として
    いますから、保険の契約者がなんと言おうとも、被害者が勝手に請求し
    ても良いのです。ちなみに、相手の自賠責の取扱保険会社、並びに証券
    番号を調べるには「交通事故証明書」をとればわかります。警察か保険
    会社にいけば、交通事故証明書の請求用紙がおいてあります。これに必
    要事項を記入して、郵便局で670円(たぶん、違ったらごめんなさい)を
    支払うと自宅に2週間くらいで事故証明書が送られてきます。
    これがあれば、完璧。


    本編


    1.自賠責ってのは、支払いに上限があって、傷害の場合、医療費、休業
      損害合わせて、120万円が限度です。できるだけ、休業損害をもらうに
      は、医療費を抑える必要があります。健康保険に切り替えることで大
      幅に医療費を下げることができます。ちなみに交通事故では健康保険
      が使えないと思っている人がいますが、これは、誤りです。医療機関
      はより高い医療費を請求できる自賠責が良いので、そうしたがるだけ
      です。


    2.基礎編で軽く触れるつもりが全部書いちゃいました。上記参照。


    3.トラック運転手がどう強弁しようとも、彼の運転の結果、一人の人間
      が受傷したわけですから、間違いなく、道路交通法上の処分があるで
      しょう。その際、本人の態度等も、処分に関係するらしいという名目
      で、警察署に「以前交通事故で怪我をしたが、相手がとても、不誠実
      で憤慨している。彼には厳罰を望みます。」と申し出ます。
      実際の効果はともかく、場合によっては、警官がトラックの運転手に
      電話をいれてくれることもあります。
      とりあえず、やりましょう。



    それから、noric 先生の回答ですが、



    >過失割合は、ご自分の加入されている保険屋に相談されれば、おおよそ
    >のところは出てくると思われます。もっとも不満があれば、ぶつければ
    >良い訳で、つまるところ過失割合とは、お互いが認めればそれで済む話
    >です。先ほど10:0は「おかま」しかなり得ないと申しましたが、それは
    >判例の世界の話であり、現に当事者での示談では、通常8:2のところ私は
    >10:0に何度もしております。
    >要は「ごねたもん勝ち」と言う感覚ですね。


    間違いではありませんが、かなり危険な考えといわざるを得ません。
    本当に今までラッキーだったのでしょう。今回のケースのように加害者
    が居直ったら、正直、参ります。ましてや本当に貧乏で賠償資力のない
    人だったら、最悪です。事故の相手は選べませんから、最悪のことも頭
    に入れながら対策した方が良いでしょう。


    >車両保険に入っている場合は、あなたの車の修理代をさ
    >っさと保険屋が支払い、そのかわりに損害賠償請求権を保険屋譲る形に
    >なります。つまり保険屋が請求権の替わりにあなたの車の修理代を出し
    >保険屋が、あなたと関係の無いところで訴訟するという形になります。


    これも、実態はかなり違います。某外資系のエグい保険会社以外、ほと
    んど、求償権行使はしていません。理由は簡単です。そういう専門家が
    ほとんどいないのと、ずばり面倒くさい、からです。求償権なんて知っ
    ていると格好いいですけどね。


    >・もし仮に、あなたに多分の落ち度が有ると考えるのであれば、物損に
    >  関しては10:0で相手方の全面的な主張を認め、保険会社より保険金の
    >  支払いを要請する。しかし、当事者間において、実質的な過失割合を
    >  議論しておき、全額相手に支払われた金額を分ける。
    >  ただし、人身があるのでこの点 は注意して取り扱いをする必要がご
    >  ざいます。人身部分の請求が出来ない場合があります。


    これも、誤解を招きます。自賠責にはたった一つだけ支払われないこと
    があるのです。これは、以前問題になったことですが受傷者(被害者)
    側に過失があり、また、加害者側に過失がなく、かつ、その車両に不備
    が無いことが証明されれば、自賠責は受傷者に支払われません。
    また、金額の縛りもありますが、受傷者(被害者)に大きな過失がある
    場合には、休業損害の支払いが削減されることがあります。
    この際、自賠責の調査事務所が判断する基準は、物損の示談内容です。
    うっかり自分の過失割合を大きくすると、自賠責が削減されたりします
    し、ましてや100対0なんてすると、もれなく自賠責の支払いが受けられ
    ません。



    ><人身事故について>
>
    >自賠責保険は、保険の等級に関係なく支払い金額は一定ですので、自賠
    >責を使うことは、加害者のトラック運ちゃんもOKすると思うのですが、
    >、、この際は、とりあえず、自賠責を使いたいと言う旨を申し出て、書
    >類をもらいます。手続きは、ご自分で行う必要があります。


    私のコメントにもありますように自賠責は、その契約者がどうであれ、
    被害者が勝手に保険金請求をしてよいシステム(被害者請求)がありま
    すので、トラック運転手の同意は不要です。さらに追加で、被害者請求
    の場合、結構使いやすいところがあるもので、こっちの方が楽なことが
    多いです。


    >***最後に***
>
>
    >かなり長々と書きましたが、あなたの加入している保険の内容、事故の
    >状況(判例による過失割合算定に用いる)がわからない為、具体的な解
    >決策へ導く方法は残念ながらわかり得ません。一度保険契約の内容を調
    >べてみる必要があると思います。簡単に見る方法は、CAPとかTAPSAPなど
    >書かれています。TAPなら安心です。(示談交渉つき&車両保険付)。
    >SAPならちょっと心配。あと、トッピングでいろいろな契約がありますが
    >こちらについて調べ、なおかつご自分の保険屋に相談して、具体的にど
    >のようにするのが、あなたにとって最も得策か充分相談されるてはいか
    >がでしょうか。保険屋も次の契約があるので、相談には乗っていただけ
    >ると思いますよ。


    あの、TAPって東○海上の保険で、基本は、SAP+人身傷害特約だけで大し
    たことでもありません。他の保険会社でも、人身傷害特約がついている
    SAPを普通に販売しています。ひょっとして、あなたはGKって符牒を残し
    つつ。まあ、ご自身の加入している保険云々より、まず、自賠責をフル
    に活用する方が先決でしょう。



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