案件名 2003/05/30 配信
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
分譲のマンションでの殺人事件
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
患者名 Yoshi 担当医 ケンタ先生 mica先生 えてんずあみど先生
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
●患者問診より●
お忙しいところすみません。会員のYoshiという者ですが、ちょっとうち
のパートさんの事で相談に乗ってもらいたいのですがつい先日、住んで
いるすぐ上の部屋で殺人事件がありました。
亡くなられた方には大変お気の毒に思いますし、ご冥福をお祈りいたし
ます。
が、しかし、こちらはそのすぐ真下。お気の毒なのとは別に、こちらは
気味が悪いです。警察にも色々事細かに聞かれ、報道陣も来る始末。
しかも今度、何たらけんぶんとやらに付き合わされる模様。
そこで聞きたいのですが、そこは分譲のマンションで、上の部屋はどこ
かの企業の所有で寮や社宅みたいな感じで使っているみたいです。
あんな事件があったせいで、住むのもかなり気持ち悪いですし売るとき
も殺人のあった部屋の下となると、どんな物かと心配ですし警察や報道
陣や色々でかなり精神的にも疲れてますし、このような状況で、このマ
ンションの所有者である企業に慰謝料を請求する様な事は出来ないでし
ょうか。
また、出来るとしたらやはり弁護士を通さないと難しいでしょうか。
妥当な金額は幾ら位なものでしょうか。
この様な事は初めてなので(・・・・当たり前ですが)
ぜひ、ご助言の程お願いします。
●担当医所見● ケンタ 先生
いろいろと大変ですね。お見舞い申し上げます。
さてさて、事件の詳細はわかりませんが、所有者の企業になんらかの賠
償を求めるのは、無理では思います。
その企業の所有・管理に起因しての事件でないと賠償請求はちょっと。
押込強盗殺人的な事件であれば、所有企業も被害者ですね。基本は、殺
人犯に賠償してもらうのが筋です。
とは言っても、現実は無理でしょうが・・・お役に立てずすいません。
不動産売買の時の重要事項って過去に事件があったとか、言わないとい
けないのでしたけ。
●担当医所見● mica 先生
>このような状況で、このマ
>ンションの所有者である企業に慰謝料を請求する様な事は出来ないでし
>ょうか?
自殺や殺人があったいわゆる「心理物件」そのものだったら自殺者の遺
族や殺人犯(?非現実的ですが)に損害賠償等や、空室にしない為、事
件後一定期間の借り上げを請求できたりするんですけど隣や上下という
のは「物件外」なのでこういった請求は難しいと思われます。
競売物件より2〜300mの所で元所有者が資金難によって首つり自殺した事
の記載がなかった為知らずに競落してしまった競落者が「取り消し」を
求めた過去判例ではその訴えを取り下げられています。
仙台高決平 8・ 3・ 5
http://www.takken.ne.jp/fudosanhoritu/st/st04.htm
やはり「売物件内での出来事ではない」というのが争点なのかもしれま
せん。逆に言えば、物件内の出来事ではないから売却や賃貸に出す場合
上で殺人があった事を黙っていても「重要事項説明義務」違反にはなら
ないかも・・・。
まあ人道的、消費者契約法の施行で後でバレた場合「聞いていたら契約
しなかった」と言われたら難しいんでしょうけど。
●担当医所見● えてんずあみど 先生
>不動産売買の時の重要事項って過去に事件があったとか、言わないとい
>けないのでしたけ
宅建業法47条1項では、個々の取引において、それを告げないことに
より、取引の相手方が重大な不利益を被るおそれがある事項、又は購入
者等の購入意志の決定に影響を与える事項(いわゆる「重要な事項」)
は、言わなきゃいけないよ、と規定されています。
その、「重要な事項」としてあげられるものに、周辺環境、すなわち日
照や騒音、悪臭などをもたらす施設の存在だとか、境界紛争に巻き込ま
れていることとか、そして自殺歴等があげられます。
ですので、売買しようとしている物件で殺人が起こった、なんというこ
とも、説明しておかなくてはならないでしょう。ちなみに知り合いの不
動産屋さんにきいたところ、どうせ自分が黙っていてもすぐに近所の人
か ら噂で伝わってくるし、ちょっと安くすれば気にしないで入居してく
れる人も意外に多いので、下手に隠さず説明するよと言っていました。
ただし、今回のように、その部屋ではなく、上の階での殺人まで「重要
な事項」とするのは難しいと思います。
そこまでやると「町内会の役員は5年に一度回ってくる」「隣の家にひ
きこもり青年がいる」「この近くではスカラー波が発生する」など、何
でもかんでも「重要な事項」にされそうな気がします。。。
なお宅建受験者は、この47条の「重要な事項」を、35条の「重要事項」
と混同しないように注意しましょう。
|