案件名 2005/05/21 配信
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
特許申請について
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
患者名 ハンドルなし 担当医 ラリ 先生
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
●患者問診より●
現在、私は特許を出願しております。
しかし、都合によりこの権利を知人に譲渡する事になりました。
この権利なのですが、ひとつ抜け穴があり、これを改善した特許を新た
に出願しようと考えています。
この場合、最初に出願してある特許を、知人が出願審査請求をして特許
になった場合、私が後から出願した特許は、後から出願審査請求をかけ
ても無効になってしまうのでしょうか。
ちなみに、名義はまだ私のままです。
権利に抜け穴があるのは、友人も承知しております。
宜しくお願い致します。
●担当医所見● ラリ 先生
結論から述べますと、後願の改善した特許の請求の範囲に記載される
「抜け穴」の技術的新規性が全てということになります。
前提として
1.出願中の特許(仮にAとします)を受ける権利の譲渡が、相談者様
(以下、甲)から知人の方(以下、乙)に内部契約で適法にされる予
定である。
2.現在Aの出願人は甲の単独。
3.乙は、移転後に甲や第三者へは許諾による実施権を付与する予定がな
い。
とします。
対応は、乙と甲の関係により変わります。
まず、常識的な対応を述べることにします。
甲乙間に協力関係があって話し合いが可能であれば、Aの出願をこのまま
にして、甲の改良発明(以下、B)を国内優先権主張を伴った出願として
漏れのない権利取得としておき、後に甲乙間の内部契約でA部分のみを乙
に譲渡として、甲はBの改良部分を取得して両者円満に権利関係の帰着を
はかるのがベストです。(ただ、Bの改良の度合によっては乙が納得しな
いことも考えられます。)
文面からは敵対関係や協力関係は明白には読み取れませんが、どうも甲
の相談者様には、Aを乙に移転後にBを何の連絡もなく出願してAを出し抜
きたいという意図があるようですので、この面での話もします。
>この場合、最初に出願してある特許を、知人が出願審査請求をして特許
>になった場合、私が後から出願した特許は、後から出願審査請求をかけ
>ても無効になってしまうのでしょうか。
これがBの「特許請求の範囲」に書かれた新規性の程度によるということ
です。もし、特許庁の審査官がAの審査請求時点でAを引用してBには新規
性が無いと判断すれば、Bは拒絶されて権利にならずおしまいです。
もし、Bの「抜け穴」の技術的内容がAと全く無関係に改良的に実現可能
であれば、Bは独立して特許が認められ、今度はAは有名無実化してBと併
存することになります。
しかし、BがAの根幹部分をそっくりそのまま引き継いでいて、さらに付
加的に新規性が認められるものと判断された場合でも特許査定される可
能性があります。この場合は、Bの権利取得後に乙の許諾無しには業とし
ての実施ができません。これを「利用関係にある発明」といい、無許諾
でBを実施しようとすると、乙にAの侵害を訴えられることになります。
いずれにせよ問題はBの新規性ですので、知人の方が「抜け穴」をすでに
知得しているのであれば特許の原則通り権利取得は早い者勝ちです。
Aの移転後乙の改良出願がされる前に一刻も早くBを出願すべきです。
|